中国の越境ECといえば、アリババグループのタオバオや天猫(Tmall)を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。実際、爆発する中国人消費者に向けて、多くの日本企業が天猫国際(Tmall Global)により、越境ECに取り組んでいます。

しかし、中国第2位の京東商城(JD.com)について、知っている人はまだ少数ではないでしょうか。

今回は、天猫の次の越境ECプラットホームとして、今後注目を集めると予測される、京東商城(JD.com)と、その越境ECモールである京東全球購 (JD Worldwide)についてご紹介します。

 

京東商城(JD.com)とは?

京東商城(ジンドン)とは、2004年に創業された、中国第2位の総合型のECサイトです。中国の中では、アリババやテンセントに並んで、4大IT企業の1社と言われています。2014年にはナスダックへの上場を果たしました。

2015年の1年間の流通総額は約7兆5000億であり、同年のアリババグループの約53兆円と比較をすると劣るものの、巨大なECモールであることは確かです。

2015年4月には、京東商城の越境EC専門のモールである「京東全球購 (JD Worldwide) 」がオープンしました。取り扱い商品数は、15万点に登り、海外企業450社以上が、1200以上のブランドを展開しています。

京東商城(JD.com)が注目される理由は?

中国越境EC市場では、圧倒的なシェアを持つ天猫国際(Tmall Global)が注目された結果、モール内での競合が数年で増加しました。そのため、中国第2位のECサイトとして、京東商城(JD.com)が注目されているのです。京東商城(JD.com)が特に注目を集めているポイントをご紹介します。

1. 中国EC第2位の売上規模

中国で1位の天猫(Tmall)のB2CにおけるEC市場のシェアは、2015年時点で約54.7%でした。京東商城(JD.com)は、それに次ぐ23.4%となっています。

中国の主なEC事業者(2015年)

出所:中国電子商務研究センター

3位以下の競合とは20%以上もの開きがあるため、圧倒的2番手のEC事業者としての地位を確立しています。

2. 2015年には「日本館」をオープン

2014年には、JD.com上での日本製品の売上総額は、1500億円を超えました。日本製品の売上が加速する中、2015年にはJD.comが展開するグローバルECプラットホームである京東全球購(JD Worldwide)の中に、日本製品に特化した販売ページである「日本館」が開設されました。花王やDHC、ソニーや資生堂などの日本企業が、商品を販売しています。

 

京東商城(JD.com)の7つの特徴とは?

京東商城はどのようなECサイトなのでしょうか。1位の天猫と比較した際に、異なっているポイントを中心に、7つご紹介させていただきます。

1.  電化製品が充実している

京東商城は元々、、PC機器や携帯電話のネット販売からスタートした会社です。そのため、現在でも電化製品が他のECサイトと比較して充実しています。「電化製品といえば、京東」と言われるくらい、現地ではブランドが確立しています。

2.  偽物・不良品を徹底排除

京東商城は商品のクオリティに徹底してこだわり、ユーザーの信頼を集めています。偽物・不良品があった場合には、販売者に対する厳しい罰則が設けられています。また、出店条件は設立から2年以上かつ、資本金50万元以上の企業と、厳しい出品条件が設けられています。

3. テンセントグループとの戦略的提携

京東商城は2014年に、中国最大級のIT企業、テンセントと戦略的提携を結びました。テンセントは、3億人以上のユーザーが登録する、中国最大のメッセージングアプリWeChatを運営しており、京東商城はWeChatからの流入を獲得しています。

4. 配送スピードが早い

京東商城は、オーダーの70%が当⽇あるいは翌⽇納品でき、配送のスピードで他社との差別化を図っています。「211限时达」という配送サービスでは、午前11時までに注文した製品であれば、その日に中に配送することができます。自社の物流網を構築しており、大都市圏には限られますが、スピーディな発送が可能になっています。

5. 中国最大のオンライン直営店

オンライン直営店とは、自社で仕入れて在庫を持ち、消費者に販売するビジネスモデルのECサイトです。京東商城は、2014年時点で中国のオンライン直営店市場のうち、54.3%のシェアを持っていました。オンライン直営店というモデルを採用したことにより、京東商城が商品販売の責任を持つ製品が多くなるため、きめ細やかなサービスが実現しています。

6. コンビニで商品受け取りができる

京東商城は1万店以上のコンビニと提携しており、消費者がECで注文した商品をコンビニで受け取れるサービスを行っています。600円ほどの送料を追加すれば、注文から1時間以内に商品を受け取ることもできます。

7. アフターケアが充実している

京東商城が販売主となって販売をした商品であれば、7日以内であれば、どのような理由でも返品が可能になっています。さらに、15日以内なら品質が原因の返品が可能、1年以内であれば品質保証が受けられるなど、商品購入後のサポートが非常に充実しています。

京東商城(JD.com)で売れている製品は?

京東商城ではどのような商品が売れているのでしょうか。天猫国際と京東全球購(JD Worldwide)の売上の構成割合を見てみましょう。

 

図:天猫国際と京東全球購(JD Worldwide)の売上の構成割合

 

出所:「天猫国際」と「JD.com(京東)」のデータ分析:JDはデジタル家電商材に強かった!

天猫国際が、美容関係品、食品ヘルスケア関連品の割合が多いのに対して、JD Worldwideでは、マタニティ・ベビー用品や、家電製品の売上の割合が多いことが分かります。また、両ECサイトに共通するのが、TOP4のカテゴリが売上全体の80%を占めているということです。

また、以下の表は、2016年のJD Worldwideの商品売上ランキングです。

カテゴリ メーカー
1 ノートPC Allenware
2 粉ミルク A2
3 ノートPC Allenware
4 エンジンオイル SHELL
5 エンジンオイル SHELL
6 紙おむつ 花王
7 紙おむつ 花王
8 デジタルカメラ Cannon
9 紙おむつ 花王
10 ノートPC Allenware

出所:「天猫国際」と「JD.com(京東)」のデータ分析:JDはデジタル家電商材に強かった!

全体として、PCやデジタルカメラなどの電化製品、おむつや粉ミルクなどのベビー用品が上位を占めています。花王やキヤノンのような日本のブランドがランクインしています。

京東商城(JD.com)の出店企業は?

それでは、京東商城にはどのような日本企業が出店しているのでしょうか。

アデランス

2017年5月には、毛髪関連企業のアデランスが、JD Worldwideに出店を開始しました。アデランスは、既に中国国内に20店舗を構えており、JD Worldwideでは、30代以上の男女向けに、ウィッグやシャンプー育毛剤などの製品を提供する予定です。

参考:アデランスが中国向け越境ECに参入、「JD Worldwide」に出店

 

赤ちゃん本舗


ベビー用品を販売する赤ちゃん本舗は、2017年4月にJD Worldwideへの出店を開始しました。これまで、日本国内の赤ちゃん本舗における外国人客のうち。半分以上が中国人だったこともあり、中国人消費者に対する販売強化を模索していました。そのため、中国人消費者が中国国内にいながらも、同社の製品が購入できる状態を実現するため、JD Worldwideへの出店を開始しました。

参考:2017年4月 赤ちゃん本舗は「京東全球購(JD Worldwide) 」で、中国越境ECサービスを開始します。

また、ご紹介した企業の他にも、2017年6月時点で、以下のような企業がJD Worldwideに出店しています。

  • Sony
  • DHC
  • ミキハウス
  • 花王
  • コーセー
  • HABA
  • CASIO
  • 資生堂

 

京東商城(JD.com)出店の2つのメリット

1. 天猫国際と比較して初期費用が安い

天猫国際と比較し、京東商城では初期費用と年会費を入れても、天猫国際の半分の金額程度で出店ができる場合があります。

2.  中国最大のメッセージアプリ「Wechat」と連携

中国最大のIT企業、騰訊(テンセント)との提携により、同社が運営するメッセージアプリ「Wechat」や、インスタントメッセンジャー「テンセントQQ」からの流入が見込めます。

京東商城(JD.com)の出店条件は?

京東商城に出店する場合、出店先は海外企業が出品できる京東全球購(JD Worldwide)になります。それでは、京東全球購に出店する上で、どのような条件をクリアする必要があるのでしょうか?

1. 海外企業であること

京東全球購は海外企業の出品専用のモールのため、海外に法人があることが、必須の条件となります。

2. 日本でブランド力のある企業

日本で既にブランドを確立している会社であることです。日本での売行きにより、京東全球購での販売予測ができるため、ブランド力がはんば重要なポイントととして見られています。

3. ブランドを所有している企業

自社でブランドを保有している、あるいはブランド企業と正規の販売代理店契約を結んでいる企業であることです。

4. 注文から72時間以内に発送できること

京東商城は、注文から発送までの時間を、非常に重視しています。そのため、注文から発送までに3日以内であることが、必須の条件となっています。

 

京東全球購(JD Worldwide)の出店方法は?

1. 事前審査

初めに、出店希望企業が条件に適するかどうかが審査されます。ここで審査が通過すると、1度目の入金が必要になります。

2. 本審査

事前審査に通過した後、本審査に移行します。本審査のタイミングでは、京東全球購に対して必要書類を提出する必要があります。本審査に通過した場合、2度目の入金が必要になります。

3. 店舗ページ作成

本審査に通貨した後に、京東全球購の店舗ページを作成します。商品の画像の登録や、キャンペーンページの作成が必要になります。

4. 販売スタート

店舗ページが完成したら、いよいよ販売がスタートします。

 

京東全球購(JD Worldwide)への参入は、今が旬!

日本企業の天猫国際(Tmall)への出店ブームがひと段落した今、中国越境ECの新たなプラットホームとして、京東全球購(JD Worldwide)を検討されてみてはいかがでしょうか。

天猫国際と異なり、マタニティーグッズや、電化製品などが主要カテゴリーとなるため、天猫国際とは異なる消費者をターゲットにできる可能性があります。